燃料ラインの全交換 / Replacing the all fuel lines
古い車とあって、さすがに一度は交換されたことがあるかもと当初は期待した燃料ライン(フューエルホース)だが、見れば見るほどそうではなさそう。特に不安でならないのがフロア下のトンネルを通るフィード・リターンのライン。何とプラスチック製、容易に交換できないこの2本に限ってなのだ。その他ゴムホースも表面に無数のヒビが入り何とも怪しい。車両火災を起こさないためにも、タンクからフューエルポンプ、エンジンルーム、そしてリターンも全て、純正に拘らず現代の優秀なホースに交換することにした。
フューエルタンク後方、フロアトンネルへの入り口。黒いプラスチックのラインは向かって左がフィード、右がリターン。ラバー製のグロメットの周囲はシーリング剤が塗布されているが、新車当時からこうなのか。ラバーホースとのかしめ部は非分解式。
先述のかしめ部からステアリングラックの上を通って前方へと伸びたラバーホースはフューエルポンプ・タンクへとそれぞれ繋がる。
続いてエンジンルームから前方を見たところ。フロアトンネルから出てきたプラスチック製の2本のフューエルラインにそれぞれラバーホースがフレア接続される仕組み。プラスチック製フューエルラインはグロメット(写真では既に取り外し済み)を介して車体側の穴に留まっているだけ。こんな構造では、ナットにトルクを掛けた際にラインに負荷がかからないのだろうか、不思議。
そんなラインに代わって使うのは・・・
日産純正のフューエルホース、A6D40-N7686(旧品番 A6440-N7686)。2.2mで1万円超えと高価だが、エンジン回りのインジェクターフィード側など環境の厳しい箇所でも使用でき、経年による劣化も極めて少ないことを経験から知っていたため、安心を買う意味でこれに決定。外径13.5mm、内径7.5mm。フィード側・リターン側で1本ずつ必要。ホースクランプは同じく日産純正の16439-53A00。燃料系統には、よくあるウォームギア式とは違って歯飛びが起こらない構造で、作りも丁寧なこれを使うことにしている。
元のプラスチック製フューエルラインを抜き取っていく。前方のグロメットを内側から車外に押し出し、フリーになったフューエルラインをタンク側から前方へ引っ張っていく。
本来ならシフトロッドカップリングがある辺りに差し入れたカメラで前方に向かって撮影。フューエルライン2本が通るトンネルが前後に走るのは左上の暗く写っている辺り。直接目で見ることはできず作業はほぼ手探り。
後端に針金を巻き付けた元のフューエルラインを引き抜きながら、その針金で新しい日産フューエルホースを引っ張り入れる要領で一本ずつ作業。
無事に2本とも通った。ホースの外径は元のラインより太く、トンネル内での余裕は終始ほぼ無い感触だった。それでも、よくある汎用品よりやや細めの13.5mmであったことに救われた印象。
ボディ側の穴の内径は約18mm。ホース周りのブッシュをどうしようかと考えた末、使い残しの日産純正のタンクブリーザーホース(ピンク色のやつ)がぴったりのサイズだったので、それをカットして使った。
引き抜いた元の2本の長いフューエルライン。ガソリン燃料用であることを示すDIN 73379との印字が確認できる。
ラバーホース部分の表面は劣化してカサカサで、全体的に細かいひび割れがある。かしめ部分は2本とも、手でひねると簡単に回転する状態・・・。
フューエルポンプのサクション側ホース。高圧こそかからないものの、これも表面が劣化してガサガサで見るからに心許ない。
フューエルポンプブラケットの根本のラバーインシュレーターは2個とも劣化・崩壊していた。そもそも、このタイプのインシュレーターで常に引っ張り力が加わる使い方をするのは設計的に間違いではないかと思うのだが、ブラケットを加工するのも面倒なので、今回は同形状の汎用品を使って補修した。
交換したサクション側のホース。内径は11.5mm、外径はオリジナルよりやや太めの19mm。
フィード側とリターン側のホース。どちらも元のホースのかしめを壊して取り出したフィッティングに差し込み、日産純正ホースクランプで固定。ホース外周には保護のためにスパイラルチューブを巻いておいた。
fsエンジンルーム側。タンク側から来たホースは2本とも元の状態よりも後方まで伸ばし、パイプジョイントを介してエンジンルームへと行くホースに繋いだ。繋ぐ位置を後方にずらしたのは、トランスミッション車載状態でのアクセスのし易さのため。
フューエルアキュムレーターのインレット側に繋がるフィード側ホースのかしめを壊してフィッティングを取り出したところ。ここもホースクランプで新しいホースと接続。
タンク側も抜かりなく。フィラーネックを引っこ抜く作業は意外に大変。ブーツは経年で硬化してあちこちがひび割れていたが、固着していてなかなか抜けない。
このホースを交換したかったのだ。元通り組みなおして作業終了。
そしてここも忘れずに。タンクからの蒸発ガスを吸気系へと戻す途中に配置されたエクスパンションタンクのラバーホース。元のホースは劣化して崩壊していた。