フロントアクスルのオーバーホール / Front axcle rebuilding
意外な難関がハブキャップの取り外し。その変わった形状に最適な工具が思い当たらない。考えた末に考案した方法がこれ。バールでこじる取っ掛かりにする。外してみると中の状態は悪くなさそう。ナット下にあるワッシャーの動き具合からも、プリロードは適切な状態だった様子。
ブレーキローターは摩耗限度以下。出てきたアウターベアリングのケージの変形具合に唖然。何があったのか過去に。
インナーベアリングのアウターレースがなかなか抜けず、ガストーチで約100℃まであぶり、ようやく撃ち抜くことができた。熱がさめやらないうちに素早く新品のベアリングを圧入。
ここでサスペンションアーム周りを分解。
トーションバーのアジャスター位置がなぜか左右でこんなに違う。
トーションバーのマーキングも左右で位置が違う。おそらく過去に左右のどちらかが分解修理を受けているが、よくわからないので、マーキングは再組み付け時には右側を正として左側を合わせることにした。そうすればアジャスターの初期位置も左右で大きく違わないはず。
至ってシンプルな構造で、合理性を絵に描いたようなフロントサス。アームの前後のブッシュ、スタビライザーブッシュ、ボールジョイントのブーツを交換していく。
サスアームのブッシュは単体で純正供給されていないようなので、社外品に交換する。まずはプレスとギアプラーを使って元のブッシュを抜く。
弾力もあり思ったほど劣化していないように見える純正ブッシュだが、後端のそれはだいぶ変形(偏心)が進んでいた。
ポリウレタン製の社外品4個セット。Powerflexというイギリスのブランド。シリコングリスを塗布して組み付けた。
さてボールジョイント。ガダなどの異常はないので継続使用するのだが、ラバーブーツは劣化によるひび割れが発生しているため交換したいところ。大野ゴム工業のDC-1607を使ってみることにした。
ドライブシャフトの等速ジョイント用グリスを充填してブーツを取り付け、ワイヤーロックで抜け止めを施した。特殊な形状のリングナット、ストラットとの締結用のテーパーピンも、状態は悪くないので今回に限り再使用する。
ハブに新品のブレーキローターを組み付け、グリスを充填したインナーベアリングを入れたのちにオイルシールを圧入。ハブAssyをアクスルに組み付けながらアウターベアリングを定位置まで挿入。グリスを充填し、ワッシャーとナットを組み、プリロードを調整。グリスはWako’sのHD-MPG M221を選択。
このあとハブキャップにもグリスを半分ほどまで詰め、ショックレスハンマーでハブに打ち込んで、フロントアクスル周りの組み付けは一通り完成。トーションバーによる車高の調整などはまた後日。