エンジンの分解 / Engine teardown

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降ろして台車に載ったエンジンを、まずは上からじっくり観察。

 

DSCF5564DSCF5565上から眺める限り、オイルプレッシャースイッチ周りで漏れたオイルが5~6番シリンダー付近とオイルクーラーへ流れ込んだ形跡があるほかは、特に大きな異常は無さそう。・・・とこのときは思った。

From the top, it looked there is no sign of remarkable failure expect passage of heavy oil leaks from around oil pressure switch going into oil cooler unit through 5th and 6th cylinders… I thought at that time.

 

IMG_1096更に寄って見てみる。最も漏れが酷い6番シリンダー周辺においても、少なくとも上側のスルーボルトOリングが決壊した形跡はみられない。

Coming closer to 6th cylinder where most significant oil leaks was observed, it looked the through-bolt o-rings at the top seemed staying intact.

 

IMG_1075続いてトランスミッションを切り離す。エンジンとを繋ぐ4箇所のナット(うち1箇所はスターターモーターの固定と共用)を外す前に、ハウジングの外側底部にあるチェンジレバーを取り外し、リリースベアリングを押すフォークをフリーにする必要がある。

Making transmission come apart from engine. You need to remove change lever installed at the bottom of the transmission housing and free the folk prior to removing four nuts around (of which one is also to fix starter motor).

 

IMG_1076IMG_1077姿を現したクラッチAssy。リリースベアリングがダイアフラムスプリング側に付く仕組み。ボルトを緩める際のリングギアの回り止めツールは端材を曲げて作ったが、これで十分機能する。

Here the clutch assembly appeared. The structure is to have a releasing bearing attached on diaphram spring side. The anti-rotation tool for ring gear, shown in the photo, is what I made from a piece of metal found in trash bin but greatly works.

 

IMG_1078IMG_1079IMG_1081ディスクとプレッシャープレート。ディスクの残り厚さは外側寄りで約7.4mm。新品から摩耗限度までの約5割を消化済みといったところか。リリースベアリングもまだいけそうな感触はあるが、ここは保険的な意味合いから3点まとめて交換したい。

Clutch disc and the pressure plate came apart. Thickness of the disc measured at closest to the perimeter was around 7.4mm, appeared that more or less 50% of the amount to the wear limit has been gone. The bearing seemed to be fine but I will repace it as a kit of clutch assembly for a piece of mind.

 

IMG_1080フライホイールは表面の荒れや波打ちもなく、状態は良好。

Fly wheel, looks fine as no remarkable scratches or unevenness are observed.

 

IMG_1082IMG_1083トリプルスクエアという、欧州車で良く使われる頭形状を持つボルト9本を緩めてフライホイールを外すと、クランクシャフト前端部が顔を出す。ここのオイルシールは要交換。

Untightened 9 bolts with a triple square head, quite popular among European vehicles, flywheel came apart and the front end of crankshaft appeared. This leaky oil seal has to be replaced.

 

IMG_1089トランスミッションを切り離して身軽になったエンジンAssy。ガレージの屋根材にスリングとレバーブロックを掛けて吊り上げ、空冷ポルシェ用の半月状アダプターを介してエンジンスタンドに固定。オイル漏れの激しいエキゾースト側の観察に入る。

 

IMG_1091IMG_1092まずはエキゾーストマニホルドを取り外す。オイル漏れのおかげで固定ナット周りはいい感じに湿潤状態だったためか、スタッドの折れも発生せずナットは全てすんなりと緩んだ。

 

IMG_1093IMG_10945~6番シリンダーはエアインジェクションノズルの付近までオイルでベットリ。排気ポート内までなぜかオイルで濡れているが、これはバルブステムシールの劣化によるのかもしれない。今後の作業で見極めていく。

 

IMG_1095 DSCF5705作業上で邪魔になるエアインジェクションノズル(写真は右から順に1~6番シリンダー)とエアラインを取り外した。

作業しながら周辺を見ていくと、オイルリターンチューブの根元にべったりと塗られたシリコンシーラントが。いつ頃に施されたかは分からないが、こんなことをしても漏れ止めにはならないのに。実際、手で握って回すとクルクルと回転するので、少なくとも途中からは効果がなかったことが分かる。

 

IMG_1086エンジン周囲を覆うカバープレートを外しながら左バンク前方の3番シリンダーを見ていると、おや?・・・

 

IMG_1087IMG_1088斜めになって遊んでいるワッシャーがフィンの隙間から見えている。何だこれは?そしてその横、カムシャフトハウジングのちょうど段差になった部分には、シリンダーヘッドを固定しているはずのナットがコロンと!・・・

このクルマ、過去のある時点からこの状態で走っていたということになる。

右バンクも同様にチェックしたところ、緩んで脱落したナットを、目視できただけで3つ発見。スタンド上でエンジンを回転させるとカタカタと音がするので、何の音だろうと思っていたが、これだったとは。単にナットが取れていただけならいいが、ヘッドスタッドの破断・破損や、ヘッドスタッドがねじ込まれているクランクケース側のねじ穴が損傷してナットが緩んだのだとすれば、事は重大。心配になってきた。

ここでエンジン本体から目先を変えて、オイル循環系のバラしにかかる。

DSCF5709DSCF5706オイルタンクとオイルクーラーラインを繋ぐ2本のホース。オイル漏れが激しく、かしめ部分を手で回せるほどユルユルなこれらだが、純正品は金属製の長いオイルラインと一体でしか入手できないうえ、目が飛び出るほど高価。したがってホース部分のみを交換することにした。

DSCF5712DSCF5713ディスクグラインダーで切り込みを入れてかしめ部を破壊し、ホースを引き抜く。ホース口元を触ってみると膨潤してブヨブヨ。空冷ポルシェはよく「オイル漏れは持病の一つ」と言われるようだが、エンジン本体だけでなく、こうしたホース類の劣化やそれによるオイル漏れも無視できないように思う。

 

DSCF5710DSCF5711ホース類が全て外れたところで、オイルタンクを取り外す。オイル量を計るゲージの周りも漏れが酷い。ナットの1つがユルユルになっていた。

IMG_1090再びエンジン本体へ。クランクケース真下のサンププレートを外し、中をのぞいてみた。過去のオイル管理状況はまずまずといったところか。

 

Dscf5736DSCF5737DSCF5738クランクプーリーを取り外そうと、フライホイール側に自作の回り止めレンチを掛け、お助け棒で延長したスライディングハンドルでプーリーボルトを回そうとするもビクともせず、エアインパクトレンチの最強モードを使ってようやく外れた。オイルシールはまだ生きていそうだが、後々のことを考えてここは交換する。

 

Dscf5741aDSCF5742左右のチェーンケースのカバーを取り外す。と、ここのナットにもなぜかシリコン系シーラントがべったり塗られている。

 

DSCF5743DSCF5744左バンクのチェーンケース内部。特に異常は無さそう。

 

DSCF5745DSCF5746右バンク。同じく異常は無さそう。チェーンテンショナーはスプリング式で、このあと取り外して左右ともピストンロッドを押してみたが、その手応え感から正常と判断。

 

DSCF5748Dscf5747aこれ以降のヘッド周りの分解に必要な工具が、46mmのクローフットレンチとカムシャフトソケットレンチ。前者は、普通の46mmソケットを加工して自作できなくもなさそうだが、費用対効果と使い勝手を考えると、潔く買うのが得策だと思う。

 

DSCF5750DSCF5752巨大なナットも難なく取り外すことができ、いよいよカムシャフト周りの分解に入る。

 

DSCF5753DSCF5757バルブカバーを取り外した左バンクのインテーク側。

 

DSCF5754DSCF5755DSCF5756順に3番、2番、1番シリンダー。ロッカーアームシャフトとカムシャフトハウジングの隙間からのオイル漏れが2番で僅かにみられるほかは、異常なさそう。

 

DSCF5758DSCF5759右バンク。

 

DSCF5760DSCF5761DSCF5762順に4番、5番、6番シリンダー。

 

DSCF5763DSCF5766さて懸案のエキゾースト側。バルブカバーを開けてみると・・・ありました完全に脱落したナットが。これは4番シリンダー。

DSCF5767DSCF57685番もナット脱落。6番は途中で破断したヘッドスタッドボルトごと抜けてきてグラグラ。

 

DSCF5769DSCF57701番、2番シリンダー。途中で破断したヘッドスタッドボルトが落ちてきている。

 

DSCF5772DSCF5773DSCF5774続いてロッカーシャフトの取り外し。バルブごとに独立したシャフトの片側にボルトが、他方にナットがある。両側から六角レンチを掛けてボルトを緩めるのだが、このときナットを回転させてはいけない。ボルトとナット、シャフト両端のコニカルワッシャーを取り外したら、シャフトを左方向へ抜く。右へ抜こうとしないこと。カムシャフトハウジング側の穴内面に付着したゴミ等をかみ込んでシャフトが動かない、もしくはシャフト外周面に傷が付いてしまう。

 

DSCF5776ロッカーシャフトとロッカーアームが全て外れた左バンク。これでやっとカムシャフトが取り出せる。

 

DSCF5779DSCF5780取り外した左バンクのロッカーアームとカムシャフト。刻印された品番から、カムシャフトはノーマルのようだ。

 

DSCF57811番シリンダーのカムに腐食らしき痕跡を発見。元々の鋳物の巣か?いずれにしても自力では修正できないので見なかったことにする。

 

DSCF5777DSCF5778右バンクも同様に。こちらはカムの異常はなし。

 

DSCF5782DSCF5783DSCF5784左バンクのカムシャフトハウジングを取り外したところ。

 

DSCF5785DSCF5786DSCF5787混在して付着している元の赤いシーラントとグリーンのシーラントから、このカムシャフトハウジングが過去に一度取り外され再組み付けされたことが分かる。

 

DSCF5789DSCF5790DSCF5791

DSCF5792DSCF5794右のカムシャフトハウジングも同様に取り外す。やはりシーラントの状態から、過去に再組み付けされた形跡が見て取れる。

 

DSCF5795DSCF5796DSCF5797右バンクのシリンダーヘッド取り外し。ヘッドスタッド折れのためか、シリンダーとヘッドの隙間から排気漏れが起きていた跡がある。バルブ周りなどのチェックは後回しにして、まずは分解していく。

 

DSCF5798DSCF5799DSCF5800DSCF5801左バンク。状態は右バンクと同様。

折れたヘッドスタッドを抜く作業は、911SCのエンジンOHにおいて最大の難問の一つ。インテーク側スタッド計12本には異常はなかったが、エキゾースト側と一緒に全交換するため、全て抜くことにした。スタッドリムーバーを使って抜くことができる分については、シリンダーが付いたままの状態で一通り抜き、シリンダーとピストン周りを外してから、途中で破断している(折れている)スタッドとじっくり格闘することにした。

 

DSCF5807DSCF5808DSCF5813DSCF5814ピストンとシリンダーを取り外す。ピストンはピンを抜く方向が決まっているので順番を考えないとうまくいかない。

 

DSCF5816リムーバーを使っても抜けないスタッドは、ナットを溶接して回したり・・・

 

DSCF5805DSCF5802クニペックスのウォーターポンププライヤーで掴んで回したり。このプライヤー、アゴの形状が実によくできていて、対象物をひとたび的確にグリップすれば握る力がほとんど不要の優れ物。

 

DSCF5815そして難しいのがこのような場合。クランクケースからの飛び出し量は10mm足らず、しかもすぐ横にはクランクケースの内圧をシールするための仕上げ面があり、これに傷が及んではまずいし、近くにはスルーボルト固定ナットがあるので大きな工具もアクセスできない。

 

DSCF5817DSCF5818スパッタよけのプレートを当ててどうにかM10ナットを溶接し、無事に取り外すことができた。3番エキゾーストの1本を除いて・・・。

 

DSCF5823DSCF5824これがその3番エキゾースト側スタッド。ナット溶接メソッドを何度か試みたが、運悪く元々の突き出しの短さに加え、このエキゾースト側スタッドは非磁性の特殊な材質らしく、スチールナットとの溶接がうまくいかずトルクを掛けると簡単にナットが取れてしまい、溶接を何度か繰り返すうちに残りの長さが隣の仕上げ面高さと同じくらいにまで減ってしまった。

ここで作戦変更。ナット溶接はあきらめ、エキストラクターで抜くことにした。しかし、ドリルで中心をもんでみるも、度重なる溶接で焼きなまされたのか、元々硬い材質だからなのか、比較的硬いステンレスドリルを使っても歯が立たない。

 

DSCF5825DSCF5826意を決して焼き入れ材用ドリルを径違いで2本購入。合計額は写真に出ている安物ボール盤を遥かに上回るほど高価だったが、背に腹は代えられない。エンジン本体をスタンドから外し、台に載せてボール盤の高さに合わせ、やってみると無事に穴が開いた。

穴径を6mm強まで広げてエキストラクターを打ち込み、裏側をバーナーで余熱して・・・。

 

DSCF5827DSCF5828無事に抜けた。途中でエキストラクターが折れたら万事休すなので、手応えを確かめながら慎重にゆっくりとトルクを掛けていったが、緊張を強いられた。エンジン前方(フライホイール側)からスタッドの根元にバーナーの炎がアクセスできた点も、結果的に幸いしたかもしれない。

 

DSCF5803DSCF5804抜き取ったヘッドスタッドたち。エキゾースト側12本のうち実に5本が破断もしくはナットが脱落しているという状態だった。スタッド折れはこの年式の911特有の持病らしいので、これを機に完治させておけば先々安心とも言える。

スタッドの抜き取りが無事に完了したところで、作業はクランクケース割りへと進む。

 

DSCF5832DSCF5833左右のクランクケースにまたがって組み付けられているインターミディエートシャフトのカバーを取り外す。次に写真のブリーザーカバーを外して中をのぞいていると、どうもこのクランクケース、過去に一度も割られていないように見える。外周部を見渡してみても同様に、はみ出している赤いシーランドは新旧が混じっていないようだ。

 

DSCF5829DSCF5830シリコンシーラントが塗りたくられたオイルプレッシャースイッチを外してみると、フランジ面のアルミパッキンがこれでもかと言わんばかりに締め付けられ潰されている。よほどのオイル漏れに悩まされていたのだろう。ここは新品に交換する予定。

 

DSCF5835DSCF5836DSCF5837クランクケース外周のボルト・ナットを全て取り去り、スルーボルトを抜くと、長年の油圧・油温に耐えてきたOリングが姿を現した。後年の911に設定されているような段付きワッシャーはこの車両には使われていない。スルーボルトとそのナットは再使用の予定。

いよいよショックレスハンマーや木端などを駆使して外周を均一に叩き、クランクケースを割る。

 

DSCF5838ついに姿を現したエンジンの中身。まずはじっくりと状態を観察。

 

DSCF5844DSCF5840DSCF5841DSCF5842DSCF5843DSCF5853まず左側。メインベアリングメタル表面の状態は、最前端の幅広なやつにはっきりと分かるほどの摩耗が出ているが、他は良好。ただ、いずれも弾力が弱っているようで、手で触れただけでクランクケースから脱落する。

インターミディエートシャフトのベアリングは摩耗が進んでいて、特に前方側(エンジン内側寄り)の摩耗が激しい。

 

DSCF5845DSCF5847DSCF5846右半分。インターミディエートシャフトのアルミギアは状態良好。No. 8ベアリングはこの後取り外して中を覗いた限りでは特に異常なし。ディストリビュータードライブギアにも異常なし。

 

DSCF5848DSCF5849オイルポンプ近影。クランクケースのシール面どうしやシーラントのはみ出し具合を見ても、やはりこのクランクケースが過去に開けられたようには見えない。つまり、腰上だけが過去に分解・再組立てを受けているということ。

 

DSCF5850DSCF5851DSCF5852クランクシャフトのメインジャーナルに異常なし。それにしてもバランスウェイトのこの薄さ、ポルシェエンジンの特長の一つなのだろうか。

 

DSCF5855DSCF5860オイルポンプとインターミディエートシャフト、クランクシャフトAssyを取り去った左半分。やはりインターミディエートシャフトベアリングの摩耗が激しい。

 

DSCF5856DSCF5857DSCF5858DSCF5859同じく左側のメインベアリング。状態は右側のそれとほぼ同じ。

 

DSCF5854DSCF5861オイルポンプおよびその搭載場所。見た限り異常なさそう。

 

DSCF5862DSCF5863DSCF5865DSCF5864クランクシャフトAssy。コンロッドベアリング部のクリアランスがどの程度なのか気になるが、手で動かした感触はシリンダー間で差はない。メインベアリング部のクリアランスは各部を洗浄したのちプラスチゲージで測定してみるつもりだが、どのみちベアリングは交換するので、測定はその時だけに留めるかも知れない。

分解作業はほぼ終わりに近づいてきた。再組立てに先立ち、今後は分解した部品の洗浄と各部のチェックを進めていく予定。

 

IMG_1113灯油とブラシでひたすら洗う。

 

DSCF6040DSCF6039シリンダーヘッドをバラしていくと・・・

バルブステムシールがバルブガイドから完全に外れてしまっているのが何個所かあった。なぜ、しかも複数の箇所でこのような状態になっていたのか分からないが、エキゾーストポートがオイルでベッタリだった理由がこれだというのは分かった。

 

DSCF6033バルブスプリングコンプレッサーを使ってスプリングを縮め、コッターとリテーナー、スプリング、シムなどを取り出し、バルブを抜き取る。写真は1番のシリンダーヘッド。

 

DSCF6034DSCF6035IN側。バルブもバルブシートも状態は良好。バルブシートはIN側・EX側とも過去にリサーフェシングが施されたのかも知れない。

 

DSCF6036DSCF6037EX側。同じく状態は良好。と思ったのだが・・・

 

DSCF6128何と1番シリンダーのEXバルブが曲がっているのを発見。

バルブガイドから抜く際にどうも抵抗感があるなと思っていたので、ボール盤にくわえて手回ししながら外周部にダイヤルゲージを当ててみると、1mm近くも振れている。

曲がりが発生しているのは傘部の根本で、バルブガイドに保持されるステム部分の曲りはごく僅かのようだ。このバルブを再びシリンダーヘッドに組み付けてみると、シートリングに対して斜めに当たった傘部の向こう側から光が見えるほど隙間が空いている。ダダ漏れだったわけだ。

不思議なことにこのバルブ、曲がってしまう程の衝撃を受けた痕跡はどこにもなく、シリンダーヘッド側のシートにもバルブガイドにも不均一な摩耗や変形は見当たらない。ピストンヘッドにも異常なし。なぜ・いつから曲がっていたのか?謎である。

ステムとガイドの遊び具合は全シリンダーともEX側でやや大きめな感触。空冷ポルシェはエンジンOH時のバルブガイド交換は定番のようなので、IN側と併せてリフレッシュするつもり。IN側に比べて負荷の掛かるEXバルブも、どうせ1本曲がっていることだし、奮発して6本とも交換する。

 

DSCF6038そして3番シリンダー、IN側バルブスプリングのアウター側が、何と折損しているではないか!このエンジンをリビルドしようと決断したのが正しかったと改めて確信。折損していたのはこの1箇所だけだったが、保険の意味も込めてバルブスプリングは全交換する予定。

 

DSCF6082DSCF6083コンロッドの状態をチェックすると、その一本のパーティングラインの脇に意味不明の打痕を発見。このエンジン、これまで観察してきた限りではクランクケースは過去に一度も開けられていないと推定していたのだが、どうなんだろうか。

 

DSCF6084DSCF6086コンロッドベアリングの状態。一部に異物噛み込みによる縦傷や摩耗の進行が認められるものの、まずまずの状態。

 

DSCF6090DSCF6089DSCF6088クリアランスも一応プラスチゲージで見てみたが、正常範囲内。

 

DSCF6124DSCF6123DSCF6122DSCF6125カムシャフトハウジングを洗浄しようと思って観察してみると、あちこちにタガネのような工具で叩いたりこじったりした跡が。幸い実害はないのでバリを除去するに留めておく。

 

DSCF6094DSCF6095DSCF6097燃焼室にこびり付いたカーボンの除去にはPermatexのガスケットリムーバーを使った。その効果は強力で、吹き付けた薬剤の泡が瞬時にして茶色になる、つまり汚れが一瞬で溶けるほど。オイル汚れよりも固形化したカーボン汚れに利くようだ。

DSCF6096薬品対応の合成ゴム製手袋でさえボロボロに溶かすほどなので、セーフティグラスは勿論のこと、皮膚に付着しないよう細心の注意が必要。

 

DSCF6179DSCF6176ピストンスカート内にオイルを吹き付けるためクランクケースに設けられたノズル。これが詰まっていないかをチェックするのだが・・・

 

DSCF6178クランクケース右半分についてはちょっとしたコツがある。スルーボルト穴に差し込んだフューエルホースがそれ。

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